職人と自己満足
鍼灸マッサージの業界に入る前の僕は、高校卒業したあと、無理して背伸びをして2浪して何と か滑り込んで入れてもらった大学をぎりっぎりで卒業したのです。
当時心理学を学んで働く先といったら普通のサラリーマンか、病院での下働きみたいな感じで、 どっちも好かなかった。
たまたまおじさん(父の弟)が鍼灸の学校に行っていて、卒業する前に病気で亡くなってしまい、 たまたま「人間をみるなら東洋医学もあるぞ」と父が押してくれたんで、それもいいかと安易に この道に入ることを、大学3年の半ばで決めたと思う。
だから、大学の4年では、同級生が卒論を書きながら就職活動をしている中、なんだか一人ぼっ ちで、卒論を書きながら、受験勉強をして、たまにバイトをしてと過ごしていた。
卒業して、専門学校に入学する前に思ったことは、この道は職人の道だから、どっかで覚えなが ら学校生活を過ごさないとでした。
名古屋市内で、学べるところをと電話帳で探していたら、「うちは一人でやっているから、だめ だよ」という先生ばかりでした。そんな中、根気よくあきらめもせずに電話をしていたら、「う ちはダメだけど、ここへ行ってみたら」と教えてくださった先生がいてくださいました。
(その先生の治療院名は忘れてしまったけど、今でも心から感謝の気持ちでいます。)
そして、僕はその鍼灸マッサージの治療院に住み込みで働きながら学校へ行くということができ るようになったのでした。
一言で言えなくて、ただひたすらにがむしゃらでハチャメチャな学生時代を、1年目で体を壊し て治療院に迷惑をかけて休み、半年後復帰したりして、結局半年後にやめちゃいましたが、1年 半は職人としての下積み時代を過ごさせてもらいました。
指圧マッサージでの技術、学校で学ぶことはたいしたことではなく、治療院で教わったことが僕 の基礎になっています。治療院で学んだことをまともに一人の人に施術したら、最初は2時間半 かかるのでした。根気よくやり続けましたよ。
長年治療に関わっている先輩は、1時間とか、50分でこなしているのです。
どうやったら、時間短縮できるのかを、考えたり、考えなかったりして、それでもなんとか、2 時間20分、2時間10分、2時間、1時間50分と短縮して指圧マッサージできるようになっ てはいました。
母や、身近な人、先輩、同級生、専門学校時代は、のべ700人くらいは施術をしていたよ。
細かいところはおいておいて、丁寧に、根気よく時間をかけてやり続けたことは、いつか根気よく丁寧に速い仕事ができるようになっていたんだ。
やめないで、あきらめないで、仕事をし続けてきてよかったって思う。